行かないで……傍にいて。
 寂しい。
 本当は毎日死ぬほど寂しいよ。
 半年だけと思ってたのに、もう仙台に来て7ヶ月経とうとしてるよ。
 何故か仕事だけはうまくいっていて、長坂さんが淡々と営業成績を上げていく。
 補充が必要ないほどの成績だから、会社の方も「このまま頑張って」とだけ言う。
 私はそこで”やっぱり東京に戻して下さい”と言い出せない。
 長坂さんに良くしてもらっているのを裏切るのもつらかったし、東京に戻してくださいって言う事は、ほとんど仕事を辞めさせてくださいと言ってるのと一緒だ。
 そこまでの決断がまだ出来ない。

 でも、このままだと綾人との距離はどんどん開いてしまう。

 どうすればいいの。
 素直に甘えていた私は、どこに行ってしまったの?
 いつの間にこんな強がる人間になってしまったの。

 綾人、あなたの胸に抱かれたい。
 今の私が願ってるのは、それだけ……。
 なのに何故かこの思いが届かない。
 簡単に出来てた事がものすごく高いハードルに感じて、怖くて飛べなくなった。

 私は強くなったんじゃなかったの?

 一人でまた真っ暗なアパートに戻りながら、私は流れる涙を止められなかった。