“ミサへ

いつもより元気ないよね?
心配してます。
会社の人には、交際が知られてしまったみたいだけど……それと関係ある?

長坂が君に最近必要以上に話しかけてるのも気になってる。

長坂明は、“エル”の僕にとって天敵“ライト”そのものの存在で。
仕事でも恋愛でも彼から何かを奪われるのは我慢出来ない。

僕のせいで君を何か苦しめているなら、全部言って欲しいんだ。
何でも出来る事はするよ。
君を失いたくない。

君と過ごす週末は僕には嬉しくて幸せで、いつまでも一緒にいたいと思ってる。

なのに、君は時間が経つほど離れてしまう気がしてる。

どうして……?
エルのままでいたほうが良かった?

僕はミサと琴美を両方失ったらどうなってしまうか分からない。
会った事を死ぬほど後悔すると思う。

お願いだから離れないで。

エル“



 こんな悲しいメールをもらうようになってしまった。
 職場での嫌がらせと、外で彼と会う重圧感に耐えられなくなってきていた私は、彼がメールで言った通り、少し彼から距離を置こうとしているのは事実だった。
 素敵過ぎる人と付き合ったが為に自分が駄目になっていくなんて……どうしようもないなって自分でも思う。

 長坂さんに心を持っていかれるなんて事は無いんだけど……。

 返事に困ってしまって、この日、私は返信メールを書かなかった。