そんな不安な気持ちで数分立ち続けていたら、足元にスニーカーが見えて誰かが私の目の前に立ったのが分かった。
“エル……?”
緊張して、すぐに顔を上げる事が出来なかった。
「待たせてごめん、ミサでしょ?」
聞き覚えのある声だった。
ゆっくり顔を上げると、何故かそこに立っていたのはカジュアルな服装をした笹島さんだった。
「……笹嶋さん?」
「エルだよ。僕がエルなの。だから今まで正体不明にしてあったんだ……驚いた?」
「え?」
驚くとかそういう次元じゃない。
私の憧れて恋焦がれて……まるっきり諦めの境地だった人が、散々心を暴露してきたエル本人だったなんて、信じられるわけがない。
「嘘だ。嘘ですよ……からかってるんですよね?だって何で私のメアドしってるんですか」
「僕だって今のいままで半信半疑だった。本当に遠藤さんがミサなのかどうか……って。でも、君のブログにのってた花の写真が、職場で君が時々活けてるのと一緒だったし。メール内容からも多分君じゃないかって、思ってた。やっぱりそうだったんだね、嬉しいよミサが君で」
スーツ姿より2・3歳若返って見える笹嶋さんは、まだ大学生かなって思えるほど若々しい。
私と並んでて大丈夫なの……って今さら心配になってきた。
事情はだいたい飲み込めたけど、だからといってこの先どうすればいいのかさっぱり分からない。
偶然ってこの世には本当に存在するのが分かって驚いた。
たまたま彼が目に留めてくれた私の花の写真が、この奇跡を呼んだ。
雨も本降りになってきて、だんだん公園の中の人も少なくなってきた。
私と笹嶋さんは、しばらく傘をつき合わせて無言になっていた。
「とりあえず……さ。雨の当たらない場所に移動しない?ここだと遠藤さんのその可愛いワンピースも濡れちゃうよ」
可愛いワンピースってほどのものじゃなかったんだけど、そう言われてやっぱり照れてしまう。
恋愛なんかまともにした事がないから、ほんの少しの事にも中学生みたいに戸惑う私。
私の戸惑いを悟ってくれてるのか、笹嶋さんは優しく私を屋根のある建物の中に誘導してくれた。
そこは公園の中に設置されてる簡素な喫茶店で、お客様は一人もいなくて、やる気のなさそうなおじいさんが独りで店番をしていた。
外は音をたてて雨が降っていて、しばらく一歩も出て行けそうにない。
私達は仕方なくそこで売ってる唯一といっていいメニューのコーヒーとチーズケーキを頼んだ。
味はどうでもよくて、私はもう心臓がどうにかなってしまうんじゃないかという状態だった。
“エル……?”
緊張して、すぐに顔を上げる事が出来なかった。
「待たせてごめん、ミサでしょ?」
聞き覚えのある声だった。
ゆっくり顔を上げると、何故かそこに立っていたのはカジュアルな服装をした笹島さんだった。
「……笹嶋さん?」
「エルだよ。僕がエルなの。だから今まで正体不明にしてあったんだ……驚いた?」
「え?」
驚くとかそういう次元じゃない。
私の憧れて恋焦がれて……まるっきり諦めの境地だった人が、散々心を暴露してきたエル本人だったなんて、信じられるわけがない。
「嘘だ。嘘ですよ……からかってるんですよね?だって何で私のメアドしってるんですか」
「僕だって今のいままで半信半疑だった。本当に遠藤さんがミサなのかどうか……って。でも、君のブログにのってた花の写真が、職場で君が時々活けてるのと一緒だったし。メール内容からも多分君じゃないかって、思ってた。やっぱりそうだったんだね、嬉しいよミサが君で」
スーツ姿より2・3歳若返って見える笹嶋さんは、まだ大学生かなって思えるほど若々しい。
私と並んでて大丈夫なの……って今さら心配になってきた。
事情はだいたい飲み込めたけど、だからといってこの先どうすればいいのかさっぱり分からない。
偶然ってこの世には本当に存在するのが分かって驚いた。
たまたま彼が目に留めてくれた私の花の写真が、この奇跡を呼んだ。
雨も本降りになってきて、だんだん公園の中の人も少なくなってきた。
私と笹嶋さんは、しばらく傘をつき合わせて無言になっていた。
「とりあえず……さ。雨の当たらない場所に移動しない?ここだと遠藤さんのその可愛いワンピースも濡れちゃうよ」
可愛いワンピースってほどのものじゃなかったんだけど、そう言われてやっぱり照れてしまう。
恋愛なんかまともにした事がないから、ほんの少しの事にも中学生みたいに戸惑う私。
私の戸惑いを悟ってくれてるのか、笹嶋さんは優しく私を屋根のある建物の中に誘導してくれた。
そこは公園の中に設置されてる簡素な喫茶店で、お客様は一人もいなくて、やる気のなさそうなおじいさんが独りで店番をしていた。
外は音をたてて雨が降っていて、しばらく一歩も出て行けそうにない。
私達は仕方なくそこで売ってる唯一といっていいメニューのコーヒーとチーズケーキを頼んだ。
味はどうでもよくて、私はもう心臓がどうにかなってしまうんじゃないかという状態だった。