何だったんだろう。

 こんな事も私の中ではすぐに忘れてしまって、もう頭は「エルにいかに失望されないように会うか」で必死だった。
 妹のおかげもあって、それまでのお化粧方法は間違ってたのも分かった。
 自分に似合う洋服選びもだいたい分かるようになった。

「よし!ここがチャンスだ」

 とうとう私の中で、エルと会おうという気持が固まった。
 これでエルに去られるようなら、もう笹嶋さんへの憧れの気持ちも封印しようと思っていた。
 笹嶋さんは素敵な人だ、明日にでも結婚してしまうかもしれない。
 これ以上彼を好きになったって、自分が悲しいだけだ。
 はっきりけじめをつけて駄目なら新しい出会いでも見つけよう。

 私は思い切ってエル宛にメールを打った。

”エル

あなたに会いたい気持ちはずっとありました。
ただ、本当に私に会って失望しないかどうかが気になって、決心できませんでした。
本当は会いたい。
会ってもらっていいですか?
可能なら今週の土曜日の1時に、I公園の噴水前で待ってます。
黄色のカーディガンと白いワンピースを着ていきます。
目立つように胸元に花のブローチをつけますので、どうか見つけてください”

かなりの勇気をもって、私はこのメールを送信した。
何年もメールで培った友情がちゃんと繋がるのか……苦しい気持ちを抱えながら。