「───……希美、帰るぞ」




あの日から少しずつ心を開いてるコトに時雨は気付いたのか、
帰りはいつもこうやって迎えに来てくれるようになった。




そして当たり前のように手を繋ぐ。




最初の頃はあたしも抵抗はしていたんだけど時雨の強引さにはかなわなかった。




だけど…ここ最近…





「ねぇ…やっぱり学校でる前からこんなふうに手繋いだりするのやめない?」





「なんで?付き合ってんだし、いーだろ」





いや…。あたし、まだ本格的に彼女になった覚えないんだけどね。




「周りの女の子からの視線が痛いの!」




「そんなの知んねーよ。見せつけてたらいいじゃねぇか。」




うわー…、こいつ駄目だわ。
何を言っても聞いてくれないな。





「時雨って女子から人気なの知ってる?」






「まったく?興味ないし。俺が興味あんのは…」





グイッ。





「ちょ…っ!!」





時雨はあたしを力強く引き寄せた。





ここ、廊下なんだけど!?
しかもみんな見てる!!
一体、何考えてんの?!