「きっとお母さんは、あたしがお父さんに似てるから…。だから…」
思い出すのが嫌で帰ってこない。
「ほんと嫌になっちゃうよね。あたし、お父さんにそんなに似てないのにね」
「…無理して笑わなくていい」
時雨はあたしの手からマグカップを取ると机に置いた。
そして向き合うように座り直した。
「寂しいなら、はっきり寂しいって言えばいいんじゃねぇの?」
「え…?」
「希美の目は凄く寂しそうな目をしてる。」
そんな…あたし…っ
バレないように今までしてたの…に?
「寂しいとか思った時は俺に電話しろ。すぐに飛んでいってやるから…」
彼はそう言って笑いかけてくれた。
「ねぇ…時雨…?」
「…ん?」
あたしに…
そんなに……、
「優しく…しないで……」