希美side




「希美…」




あたしはこの声で現実に引き戻された。





「あっ…ごめん…」





抱きしめてなんて、あたしらしくないことを言ってしまった。



きっと時雨も動揺しちゃったよね…?




「か、帰ろっか…」




本当は誰もいない家になんか帰りたくない。




寂しい。




だけど…あたしには帰る場所があそこしかないから仕方ない。




仕方ないってことぐらい分かってるのに…