時雨side 「もっと…強く抱きしめて…」 今にも泣き出してしまいそうな声で言う希美を強く抱き締めた。 儚くて 消えてしまいそうで…。 一体…どんなことを抱え込んでるんだよ? 今にも消えてしまいそうな後ろ姿が俺には怖い。 どうしょうもなく、切ない。 だからおまえが俺の中からすり抜けていなくならないように呼ぶんだ。 「希美…」 ただ一人、愛しいおまえの名前を──…