「時雨…?」





「ん。残ってるかと思って来てみた」





そう言って時雨は笑った。



他の人にはあまり見せない優しい笑顔で。





「あたしに…何か用事でもあったの?」






「用事はない。ただ…逢いたかった」






触れ合った部分から伝わるお互いの温もり。




時雨の腕の中はこんなにも居心地がいい。





だから少しだけ…





「もっと…強く抱きしめて…」





この温もりに酔いしれたかった。