「他の子だったらきっと鼻血出して倒れてるよ、時雨」
か、かっこよすぎるよ…。
「希美は?希美は倒れねぇの?」
「あたしは心臓がばくばく鳴りすぎて破裂寸前」
「ククッ…なんだよそれ」
おかしそうに時雨が笑う。
「そろそろ帰らねぇと希美の身体も冷えるな。」
「あ…」
「なに?俺が帰るから寂しい?」
あたしはそう言われて素直に頷いてしまう。
「家に帰って電話すっから」
「…うん」
「明日、学校だし会えるだろ?」
「そうだね。…ちゃんと電話してよ?忘れたとかナシだから」
「分かってる。…また、あとで」
時雨は優しく笑うとあたしをぎゅっとしてロビーから出て行った。
"また、あとで…"
そう言われると早く声が聞きたくなる。
あたしは左手に着いた指輪を見ると不思議といつの間にか微笑んでいた。
「チェーンに通して学校でも持ってよう」
あたしはそう言ってもと来た道を戻っていったのだった。