「あの時の子猫かぁ…、よかったぁ…生きてた…。あの後、すっごく探したんだからね?」
子猫の頭を撫でながらあたしは笑った。
「…左目は、病気で開かないらしい」
「えっ…」
だから捨てられたのだろうか…?
分からないけど…そんなことって……
「勝手過ぎるよね…人間って…」
なぜかあたしは涙を流していた。
「おまえ…泣いてんのかよ…?」
「えへへっ、なんでだろ?涙が出てきちゃった…」
拭っても拭っても涙は止まらず流れてきた。
──グイッ
「え…時雨…?」
「なんかうまく分かんねぇけど…泣けよ」
そう言われた瞬間、あたしは何かが切れたかのように大きな声で泣いていたのだった。