その夜、私は夢をみた。



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そこは国会の壇上、これから総理の答弁が始まろうとしているのだが…………


それを凝視する議員の表情は、困惑に満ちていた。


(なんだ、アレは?)


(あの格好は何か意味があるのか?)


壇上に上がった総理は、何故か裃にちょんまげ姿という、とんでもない格好をしていた。


まるで、時代劇の『遠山の金さん』みたいだ。


そして……


「おぅ、おぅ、てめぇら!
反対、反対とさっきからやかましぃんでぃ! この背中に咲いた桜吹雪~~散らせるもんなら散らしてみやがれえ~~っ!」


そう言って、諸肌脱いだ総理の背中には見事な桜吹雪と一緒に、こう彫られていた。







『消費税増税命!』



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「うわあぁぁっ!」


叫びと共に飛び起きた私は、全身にびっしょりと寝汗をかいていた。


気がつけば、もう朝である。


恐い夢をみてしまった……


これというのも、ゆうべキャバクラからの帰りのタクシーの中で幹事長が

『マナミちゃん、きっと総理の背中には消費税増税命!なんて刺青が彫ってあるんじゃないのかなぁ』

なんて変な事を言ったからに違いない。


ああ、もう党会議に出かけなければいけない時間だ。


今日の会議は荒れるだろうなぁ……



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