翌日の国会………
「M大臣!アナタは個人の趣味であるSM に興じる為にSM バーに入店し、その代金およそ一万八千円余りを支払ったその領収書を、事もあろうに自らの政治資金管理団体の経費に紛れ込ませていましたね!
政治資金とは読んで字のごとく、政治活動に必要な資金の事を指します。それを、個人の趣味に使うとは言語道断!アナタはそんなにしてまで女王様にムチで打たれたいのかっ!」
宣言通り、幹事長はM大臣に噛み付いた。まるで裁判で被告人を追及する検察官のようである。
しかし、この件に関してのある程度の追及はM大臣にとっても予想の範疇だったのだろう。彼は特に動揺する事無く粛々と弁明を始めた。
「今の質疑に対し、ひとつ事実と異なる部分がございましたので訂正させてもらいますが、私はそのような店に行った事実は在りません。私にはそのような趣味もありませんし、問題の領収書の店に関しては全て私の資金管理団体の職員が誤って記載したものであります」
その後、幹事長とM大臣の論争が繰り広げられた。
「部下のせいにするとは、なんとも卑劣極まり無い!ご自分の不祥事はご自分で尻拭いしたらどうです、M大臣!」
「ですから、私は行っていません。あなたは私がその店に行ったと決めつけているようですが、全て憶測でしょう?そんな証拠はどこにも無い」
「証拠ならあるぞ!君の顔はどう見たって『ドM』の顔だ!
それに名前だってM氏じゃないか!」
「それのどこが証拠ですか!
バカバカしいにも程がある!」
「隠したってだめだよ、僕には判るんだからね。君は女王様にムチで叩かれるのと、ピンヒールで踏まれるのと一体どっちが好きなんだ!」
「知るかっ!勝手に決めつけるな!」
貴重な国会審議の時間がこんなくだらないやり取りで消費されていく………もっと審議しなければならない大事な法案はいくらでもあるのに………
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