再び、現場の視察を開始した。
「君!これは絶対活断層だろう!そうじゃ無いのか!」
先程の学者にもう一度詰め寄る幹事長。何か少し苛立っている様だ。
「だから言ったでしょ、活断層ではありませんよ」
「何故そう言い切れる!証拠はあるのか!」
「活断層だって証拠だって無いでしょ!」
「証拠はある!なんとなく雰囲気が活断層っぽいっ!」
「なんだそれ!何の科学的根拠も無いじゃないですか!」
「じゃあ、ゆうべ死んだ爺さんが枕元に出て『ここが活断層だ』って言ってた!」
「話にならない!」
専門的な論争で学者を負かそうというのが、そもそも無茶である。幹事長は口喧嘩に負けた子供のように悔しそうに私の所へ駆け寄って来た。
「マナミちゃん、あいつ超ムカつくよっ!何かここが活断層だっていう証拠は無いの!」
「う~ん、よく分かりませんが……確か、ある学者が掘り返す深さが浅いからはっきり判断出来ないとか言ってたような………」
「よし!だったらもっと深く掘らせよう!」
そう言うなり、幹事長はポケットから携帯を取り出して、電話をかけ始めた。
通話先は、国土交通省………
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