原発の敷地の直ぐそばの広い土地、この場所が問題の現場である。
原発の主要施設が建設されているこの土地の地質が、活断層なのかどうか、現在この場所を掘って専門家による調査が行われているのだが、どうもその意見が専門家によって食い違っている事が、問題となっている。
電力会社側は独自の調査団に調査を依頼し、その調査結果によりこの地質は活断層では無いと主張しているが、一方で別の調査機関ではこの地質を活断層であるとした調査報告を出している。
「いやぁ~これはまさしく活断層だよ!ねっ、マナミちゃん♪」
「分かりません……」
私の答えに、幹事長は大げさにズッコケる。
「何言ってんの、マナミちゃん。活断層じゃなきゃ再稼働反対出来ないじゃない!嘘でもいいから活断層って言っとこうよ」
「いや、嘘はいけませんよ幹事長。それでは目的の為に国民を欺く事になります。しかし、ここが活断層だと言う意見があるという事は、活断層という可能性が拭えないという事ですので、可能性がある以上、安全上この原発の再稼働には反対するべきだと私は思います」
「ふうん……可能性ねぇ……よく分かったよマナミちゃん。しかし、それではやはり弱いね」
そう言って、幹事長は付近で地質調査をしている学者らしき人間の方へと駆け寄っていった。
「そこの君、この地質は活断層なんだろ?」
「いえ、活断層ではありませんよ」
どうやらその学者は、電力会社が雇った方の学者だったらしい。
「まあまあ、君は寿司は好きかな?
よかったら近くの寿司屋で、もっと違った見方の話を………」
幹事長、アナタ私の話をちゃんと聞いてたんですか?
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