『…ん』
起きるとカーテンからはうっすら陽が差し込み、千尋の整った顔が至近距離にあった。
『あれ、雅弘?』
少し起き上がって部屋を見回したけれど雅弘の姿が見えない。
どこに行ったのか、と静かにベットから抜け出そうとした。
…と。
「どこ行くの」
掠れた声が下から聞こえ、腕を引かれてベットに引き戻された。
『お、起きてたの?それとも起こしちゃった?』
「起きてた。何キョロキョロしてるの?雅弘なら仕事行ったよ」
『嘘、いつ?』
「ちょっと前」
『やだ、声かけてくれればよかったのに』
「美咲があんまり気持ちよさそうな顔して寝てるから。よろしくだってさ」
『そっか……ねーもういいよ離してくれて』
「なんで?」
『なんでって言うか…恥ずかしいんだけど』
「今更。美咲今日休みでしょ?もうちょっと寝てよ」
『で、でも…』
こんな状況、素面で寝れるわけがない。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、なだめるように私の背中を撫で千尋は目を閉じた。
その顔に、思わず見惚れてしまった。
.