『えっ、と...千尋、やっぱり酔ってるよね。訳分かんないこと言ってるよ?』
「もう覚めたよ。酔ってたらちゅーしてる」
『し、知らない千尋がいる!こんな千尋知らない!雅弘ー、起きて!』
自分から行く分には平気なのに、相手から来られるとどぎまぎしてしまう。
冗談ぽく言いながらくっついていた身体を少し離し雅弘に声をかけた。
「こら、起こしたらかわいそうでしょ。明日仕事なんだから」
『…ん!』
ぐいっ、と頭を胸に押し付けられ、自然と静かにならざるを得なかった。
相手は千尋なのに、ドキドキする…
『…千尋が男の人みたい』
「男だよ。知らなかった?」
『うん…知らなかった』
「もっと教えてあげよっか」
『…なっ!』
「ふふ…カワイイ」
また頭を撫で始めた千尋の手。
からかわれたんだと分かって、口を尖らせ千尋を見上げる。
『仕返し?』
「え、何の?」
『いいよ。もうからかうのやめて…なんだかんだ言って免疫ないんだから』
「からかってるつもりなんてないけど?へぇー、なんかそれも意外」
『もういい。寝る』
「ん、おやすみ」
ドキドキして眠れない、なんて思っていたけど。
千尋の頭を撫でる手が優しくて、いつの間にか夢の中に落ちていった。
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