『千尋、いい匂いがする』
「…美咲、ちょっと離れて」
『なんで?離れたら寒いじゃない」
思ったよりがっしりした千尋の身体に擦り寄る。
困ったような千尋のため息が聞こえた。
「雅弘、お前も何とか言ってよ」
「…んー」
「雅弘?」
『え、もしかして寝たの?』
「...」
「寝たみたいだね」
『散々騒いでたくせに。おやすみ3秒、子供だなぁ』
眠ったらしい雅弘に、二人向かい合って苦笑。
そのまま、顔を千尋の胸に擦り寄せた。
「もう、しょうがない子だね」
『うん?』
クスクス笑い、千尋は私の頭の下に腕を滑り込ませる。
『…腕枕だ。サービスいいねぇ?』
「嫌じゃない?」
『ううん、好き。でも重くない?』
「大丈夫」
そのまま、空いたもう片方の手で頭を優しく撫でてくれるのが心地よく、目を細めた。
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