「でね、よかったらもらってほしいの!形もそこそこ良くできたと思うから…」


うつむいてさっきラッピングしていたカップケーキをそっと差し出す。

その子は顔が真っ赤で、すっごくかわいかった。


ふと気がつけば彼らを見ているのは私だけじゃなくて、クラスのほとんどが注目していた。

あの東條くんが、なんて言うのか。

私は自分が渡してるわけでもないのに心臓がばくばくいってなぜか泣きたくなった。

つーんと鼻が痛くて、じわじわ涙がこぼれそうになる。ここでなんで私が泣くの。おかしいでしょ。

ぎゅっと自分の手を握り締める。





「俺、甘いの苦手なんだ。悪い」


ふ、と東條くんが柔らかく柔らかく微笑んだ。

どこか幸せそうで、普段女の子には見せない。普段だって見せないような笑い方。


心臓が、いたい。







「あっ、ううん!こっちこそごめんね!」

「でも綺麗にに作るんだな。料理得意なの?」

「ちょっとだけだよ」