見つめ合うのが好きだった。
君の瞳に映る、自分を見ると俺は君の瞳の中で幸せそうに笑っていた。

もう、……何もかもを忘れたい。
君の事も、君を好きだった俺の事も。


――俺はあゆの唇をそっと離して笑って言った。

「じゃあな、あゆ。
色々、ウザくてごめんな。

……もう……おしまいな?」

彼女の目に、うるうると輝くもの。

どうして。
それは、何の意味を持つのか。
訊ねる気力さえない。

「たく……」

俺はそのまま彼女に背を向けると、歩き出した。

「卓也……。嫌だよ…」

嘘だ。
背後から聞こえる声に心が答える。

「待って。何で…」

何で…?
俺が聞きたいよ。
君がどうして俺を見なくなったのか。