「……と、言うか。
もう……一緒に帰る必要はなくないか」
「………え…」
俺は彼女の目を見て一気に告げた。
「君と一緒に過ごす時間が無駄に思えてきた。
俺は………自分を見ない相手とは、付き合いたくない」
「え……、卓也…?」
俺を真っ直ぐに見上げる、あゆの透き通った目。
久しぶりに彼女と視線を合わせた気がする。
俺はあゆの肩をグッと掴むとその唇を一気に塞いだ。
「………!!」
これは………さよならのキス。
君が大好きだから。
今も、君を奪いたい衝動と戦っているから。
……だから、もう、やめる。
あゆを好きで堪らない自分を、もう捨ててしまいたいんだ。