「楓の全部を俺にくれる…?」

「え゛っ?!」

私の目の前まで来たお兄ちゃんは、長い指を伸ばしてそっと私の髪を後ろに鋤いた。

その指の動きに私の身体がピクリと揺れる。

「…怖がらなくてもいい。
怖さなんて、感じる暇もないくらい、……愛してあげるから」

「………お兄ちゃん…」

………うん。
怖くなんてない。
だから、今すぐにそうしてほしい。
息が止まるほどに私を包んで欲しい。

「……お兄ちゃん……」

「………ん?」

「下手くそだったら…お母さんに言いつけるからね」

「げ。……ヤメロ……」

私はクスッと笑ってからお兄ちゃんの首筋にキュッと吸い付いた。

「…う…わ……っ」


お手並み拝見。
学校一の優等生のモテ男。
恋のテクニックは、どんなものかな………?






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