「…えっ……」

「お前のためなら何でもする。
俺は………楓の言いなりだ。
昔からずっと。

楓が……本当に大切なんだ」

ゆっくりとお兄ちゃんが階段を上ってくる。

私は……逃げ出す事も、拒む事も、出来ない。

「……楓が何も言わないのなら…先に俺の頼みから聞いてもらおうかな」

お兄ちゃんは自分の制服のネクタイをゆっくりと緩めてシュッと抜き取った。
それをポトリと床に落とす。

「……お兄ちゃ…」