――「ねえ、慶太!どこに行くのよ」
「………」
「ねぇってば!ガッコは?
ヤバイよ」
彼は無言でズンズン進んでいく。
何なの?!
息を切らして腕を引かれる。
………「着いたよ」
……え。
ここは。
学校の裏山の展望公園。
小さな頃に毎日遊んだ、懐かしい場所。
「何で」
「……中学の時……、時間があればいつもここにいた。
ここで…思ってた。
いつか、きっと……杏里にここで言おうって」
彼の目が陽の光にキラキラ輝きながら私を見ている。
「………何を」
固まる私に慶太が太陽みたいな笑顔を見せてくれる。
――「ずっと、…ずっとチビの頃から…
俺にはお前だけだって事をだよ」
………そうよ。
私だって、そうだったよ。
その…笑顔が…、何よりも大好きだったよ。
「慶太……好きだよ」
彼は笑ったままで言った。
「やっと、聞けた」
私達は思い出の原点のある場所で、そっと唇を重ねた――――。
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