「待ってよ!卓也!
分からないよ!」

あゆは駆け寄ってきて俺の手をギュッと掴んだ。

「………っ……」

ガバッ。
俺はその手を振り払った。

「卓也…!」

「もう終わりなんだ!
もう、話したくない」

……そうだよ。
何故ならば、俺の涙を見られたくないから。
君を抱き締めたいと、心から思っているから。


「……なん…でぇ…。
どうしちゃったのよ……。
助手の話は断るよ?
…卓也が嫌なら……」

「………好きにしたらいい」

「卓也ぁ……」

「もう……嫌になった。
君を………好きじゃない」

「………!」


……嘘だよ…。
君が、今も大好きだよ。
だから、耐えられない。


ねえ、あゆ。
………もう、いいんだよ。
俺は、もう、…君の負担になりたくない。



「………じゃあな」

俺は振り向かずに彼女にそう告げると、一気に走ってその場を離れた。