しばらく涙を拭わずにはらはらと泣き続けた広尾は、右手を私の手に重ねた。
広尾の左手を温める私の手は、もう随分とぬるくなってしまった。
それでも、広尾の右手よりは十分暖かくて、広尾の左手と同じぐらいだった。

「遥ちゃん」
「なあに、天空くん」
「は、るかちゃ」

時々、広尾は壊れたように泣き始める。
そうなったらもう止まりはしない。
終わるのを待つしかない、ひたすらに。

広尾の見る空が青かったのは、涙で滲んだ視界のせい。

小さい頃のように、遥ちゃん天空くんと呼び合い、身を寄せ合う。
ただでさえ弱く小さい広尾が、もっともっと小さく見える。
消えてしまうのではないかというくらいか細くなる。

私は、広尾の心の支柱になっているのだろうか。
そうだとしたら、ちょっと困る。
でも、それを嬉しいと思ってしまう自分に、一番困る。
もうどうしようもないくらいに。
私にも広尾が必要なんだ。