「華」

俺は華を見つめ呼んだ


ふと顔を上げた華は戸惑いの表情をみせる



平凡で幸せな暮らしを送ってきていた華を
この世界に無理やり連れだしたのは俺


それでも華と共にこの世界で歩んでいきたい



「妻の華です」


華奢な華の腰を手に俺を囲む大人たちに紹介した


俺の妻…


自分で言っておきながら華を妻と呼ぶ違和感が恥ずかしくも嬉しかった


周りの驚きの声にかき消されるように緊張し一生懸命に挨拶する華はこの会場に
いる誰よりも可愛く俺の心を穏やかにしていく


「華、笑って」


だから華


華にはこれからも、前を見てただ笑っていて欲しい