好奇の目にさらされ今にも泣き出しそうな華は、その場にしゃがみ込み散らかった食器を片付けようとしている


「大丈――」


声を掛け手を差し出そうとすると人混みの中を割って男子社員が華に駆け寄った



「華、大丈夫?」


男子社員は心配そうに華の細い腕を掴み立ち上がらせた



「うん…ごめん…」



作り笑いで男子社員に答える華に俺は映っていないだろう



「華、手ケガしてるじゃん」


男子社員が掴んだ華の手首には血が滲んでいた