「…………………………」


「…俺は次期社長です。…“次期社長はすごい”、“うちの娘はどうですか?”といつも言ってきます。俺はそれが嫌だった。…誰も俺の中身を見てくれない。だから家を出ました」


これは海斗が家を出る前日に私に言ってくれた事です


こんなに悩んでいたのに気づけませんでした


「…そーいえばさぁ、月菜は姫になる時あいさつしたよね?」


暗い雰囲気をかえるように零君が言いました


「はい」


したはずですが…


「何で海斗はその時、自分の姉って言わなかったの?」


確かにそうです


あの時はまだ海斗は家を出ていませんでした


毎日会ってる姉の顔を忘れるでしょうか?