「ごちそうさま」




が、結局負けた私。
捕まった時点で大体分かってたけどね。
それでも抵抗するのは仕方ないよね。人間の性だよね。




「……笹原晶のバカ。いってきます」


「名前は?」


「知るか!」




私は家を飛び出て玄関のドアを慌てて閉めた。
今の私は奴の顔を見れまい。



あー…何でアイツは私よりも……あんななんだ。
朝からチューって何?
私の家のお父さんとお母さんそんなのしてた記憶ないよ?


どこの文化取り入れたんだろ……




「紗奈!」




うげっ……


何で…………?




「忘れ物。鞄」




見ると私は見事に手ぶらであった。
動揺したのがバレバレだ。
せっかく熱が引いてきた感じしてたのに…




「…紗奈はやっぱり面白い」




そう言って私のおでこにキスを一つ落とし、じゃっと立ち去って行った。