私は地面に座り込んでしまっている笹原晶に手を伸ばし、2人して病院に向かう。




あぁ、笹原晶をお母さんに何て紹介しようかな…
お父さんはきっと今の笹原晶を見せたら笑い転げるに違いない。




「何か楽しいこと考えてる?」



「何故故に?」



「……鈴木の顔が綻んでるから」




……うむ。
私はそんな顔してたのか。




「…………」



「笹原晶、何か拗ねてる?」



「…絶対俺以外の奴のこと考えてただろ」




何だ、そんな理由か。




「いつも鈴木は俺の前でそんな顔しねーから」




「笹原晶ってやっぱり馬鹿だよね」



「はぁ!?」




確かに考えてたのはお母さんやお父さんのことだけど、その中心は誰であるかをコイツは知らないのだ。




「どういう意味だよ?」



「教えない」




まぁ、私が教えないからだろうけど。



いつか、言える日が来るだろうか。










-終-