「うわ……」




考え事をしている隙にあろうことか笹原晶に抱っこされてしまった。




「…お。軽いな。
これなら病院まで楽勝だな」





「何…」





「?」





「何するんだよ!」




TPOをわきまえず、私を担ぎ上げた奴に下からアッパー食らわせた。



「あ………」




やってしまったと気づいたのは時すでに遅しというやつで…




「………いてぇー」




うわぁ…滅茶苦茶不機嫌でございます。
どうしよう……




「あ、あの晶さん…」



「あ?」




ひぇ〜怖い。怖い!




「やはり公衆の面前ではダメです。こういうの。
だから、するなら人目の無い所でラブラブしましょう」




おい、この口どうにかしてくれ。誰か縫ってくれ。
ろくに告白出来ない奴がそんなラブラブなんて出来るわけねーだろ。




「!…………分かった」




分かるなぁぁぁぁあ!!
そこは拒否しろよぉぉお!!
マジ空気読んで下さいよ、晶さん。




「楽しみだな」




「……………」




……全然楽しみなんか、じゃない。




だけど。





そんなに優しい笑顔で言われたら何も言えないじゃないか。


どうやら私も大概阿呆らしい。