「すみません、ナンパさん。
私、母親の湿布もらわないといけないので…海鮮パスタはまたの機会に」
「はぁ?
湿布なんて後でも買えるだろ!?」
「今でも買えます。
それなら今買うべきじゃないですか」
…………アイツ、無茶苦茶だ。
「意味分かんねー
そもそも本来なら補習だったんだろ?
それなら湿布買いに行かなかっただろ?」
「はい?」
「つまりはそんな理由で納得出来ねーということだ」
「……そんな理由、ですか…」
「………何だよ?」
俺はさっさと立ち去れば良いのに気になって動くことが出来なかった。
「ナンパさん、頭沸いてます?」
「はぁ?」
「お母さんが私の友人に連絡するぐらい腰を痛めて待ってるんですよ!?
たとえ何があっても普通そっちを優先するでしょうが!」
親思いな娘だな。
俺とは縁遠い奴…だな。
いや、別に関係ない。女の性格なんぞ知ったこっちゃねー
だけど。
「そしてあともう一つ!!」
もうそれぐらいで放ってさっさとアイツも行けば良いのに。
「海鮮パスタの代金だけ下さい。お願いします」
とんだ変わりようだ。
どんだけ食い意地凄いんだ。
つか、アイツ海鮮パスタと湿布しか話してないんじゃないか?
――だけど何で俺はあんなにバカな会話から目を離すことが出来ないんだ?