「鈴木さん困るんじゃない?」
まぁ、困るけど。
でも。
「そんな事、ないよ」
「へぇ…どうして?」
委員長の、この冗談めいた口調が私を饒舌にさせるのかもしれない。
ある意味委員長は聞き上手だ。
「だってクラスの皆と打ち解けてたから」
彼は悩んでいたのだ。
「笹原晶は誰より気にしてたんだよ」
文化祭の参加を断ったのは、自分が居ることでクラスのモチベーションが下がることを気にしたから。
冷たく私を突き放したのは私がクラスから孤立してしまうと思ったから。
考えは不器用な彼らしく間違っていて腹立たしいけれど、でも。
「…笹原晶は、優しい他人想いの人なんだよ」