「俺は…鈴木に笑ってて欲しかった」




は?




「だけど俺と付き合い出してから…周りから噂され、笑顔も俺にあまり向けなくなった」




驚いた。
まさかコイツがそんな事を気にしてただなんて。
否、気にする奴だったなんて。




「だから、勝手な事して別れた。
だけど昨日それは間違ってるってお前のダチに言われた。鈴木を見くびりすぎだって。何も分かってないってよ」




流石は守である。


確かに私はクラスの皆さんのミジンコみたいな噂は気にしない。
笹原晶に笑顔を向けないのだって…きっと気づかない内に意識して緊張してたからだ。あ゛ー私っていつからこんなに乙女チックに……




「……返事は落ち着いてから、くれ。
次にもし、また付き合ってくれるなら、俺は二度と鈴木に寂しい思いはせない。辛い時は必ず傍に居るから」




そう言って奴は出て行った。



お父さんと気まずい雰囲気の中。
目線が合わせられない私に父が言った。




「紗奈って黒髪で大人しい人が好みじゃなかったのか?」




「…………そうだね」




会話は即終了。



私はすでに1つのことで頭がいっぱいだった。




返事、しないとなぁ…




あー…考えただけで胃がキリキリします。