「…ただ、謝りたかっただけなんですが……紗奈さんの顔見て安心しました。
俺、帰ります。失礼しました」
そう言って奴は頭を下げ、出て行こうとした。
「…まぁ、待ちなさい」
それを呼び止めたのはお父さんだった。
私は驚くばかりで声も出ない。
「…君が紗奈の彼氏君か?」
私はお父さんの方へぐるりと振り向いた。
何故それを…!?
「……妻から聞いたんだ。最近、娘から花が出ていたと」
うわーん、お父さんヤメテ。ソレ以上娘の恥を曝さないで下さい。
「だけどいつ頃からか落ち込み出して…問い詰めた所、別れたと聞かされた」
「…………」
笹原晶はダンマリである。