私はクラスの同級生だと簡単に説明する。
この際色恋沙汰は一切省かせていただいた。
言う必要性がないからね。


その説明に不服そうな顔をする笹原晶。


…なんだ、その顔は。


まるで私達が別れる前みたいな感じじゃないか、それ。




「笹原晶です」




あの笹原晶が敬語使ってるよ。
どうするコレ。録画ものだよコレ。


金髪ピアスが敬語だよ。
服装は……走ってきたからか、乱れてるけど…そこまで酷いものじゃなかった。
むしろ笹原晶にしたら地味な感じ。というよりジャージか、あれ。


もしかして笹原晶は慌てて家を飛び出してくれたのかもしれない。


朝、早かったからなぁ…
待ち合わせは10時だったが、あの時の時刻はまだ9時過ぎだったんじゃないだろうか?


ま、私には知ることは出来ないけどね。


笹原晶と関係を絶ってしまってるから。




「…わざわざお見舞いに?」




お父さんの言いたいことは分かる。
守達は帰ったのにコイツは飛んだ阿呆だよ。




「…いえ、す……紗奈さんに会いに」




更に印象悪くさせやがった。
コイツ、本当に空気読めよ。
私は今云々かんぬん言ってる場合じゃない。


お父さんとこの後のことも話さないといけないし、守にもお礼とか、先生が様子見にくることとか…とりあえず色々あるのだ。