私達2人は笑顔で喜んだ。
あぁ…なんか久しぶりだな、こういうの。
私とお父さんは未だ麻酔の切れないお母さんの手を握った。
病室に着いても、それをお互い離すことはなかった。
お母さんは無意識であろうが、少し握り返してくれたのだ。
「…紗奈」
幾分落ち着き、お母さんを挟んで2人向かい合って座っていた時、お父さんがポツリと言った。
お母さんはまだ静かに眠っている。
「有給とったから…友恵が元気になったら皆で一緒に旅行行こう」
「……そうだね。
楽しみにしてる」
私は漸く初めてお父さんに心からの笑顔を向けることが出来た気がした。
そして、ちょうどその時だった。