「お父さん!!」




「紗奈、無事だったか!?」




お父さんが心配しながら駆け寄ってくれた。




「…うん。お母さんは?」




「……まだ分からない」




「………そか。
ねぇ、お父さん」




言わないと。
伝えないと。


自分の言葉を愛せるように。
自分の言葉で進めるように。




「……殴って、ごめんなさい」




私は頭を下げた。


お父さんに謝るの、何年ぶりだろう…?




「…いいんだ、紗奈。
ほら、頭を上げて。…悪いのは私の方だから」




私はお父さんに頭をポンポンとされた。


まるで上げないとダメだぞとでも言うように。