帰って来た父親との接し方をこじつけにずっと私は逃げてきた。



そして今も。


何故なら私は病院に居ない。



足は重く重く、けれど笹原晶と少しでも離れたいから走りながら病院へ向かっている。



奴が追って来ないことだけが救いだった。











「………行かなきゃ…」




病院に着くと、
建物が目の前に見えると、
途端に足が動かなくなった。


分かっていても動かない。




「紗奈!!」




すると背後から慣れ親しんだ声が聞こえた。




「紗奈、笹原君に会えた!?」



「っ……」




黙って俯く私を見て守は私の手を握った。




「……本当に素直じゃないんだから…」



「…スミマセン」