「は、離して!」




私はドンドン叩いたり頭突きしたりして暴れるが奴はビクリともしなかった。




「諦めろ。
今は離さねーから」




…やっぱり不良の帝王にはかなわないのか…







長い沈黙の後。






「――――…何でこんなことするの?」




諦めた私は奴の顔を見ることなく、俯いたまま尋ねた。




「………俺のため」




また意味の分からない回答。
もう、うんざりだ。




「俺がしたいから、してるだけ」




自分から振ったくせに。
こうして勘違いさせるようなことをコイツは他の人に何度言ったんだろう…




「……どうせ気の迷いでしょ?」




私にはこんな言葉しか思いつかない。