走るのに疲れた私は石段の所に腰掛けていた。



何が悲しくて
何が悔しくて
何が情けなくて
何が不甲斐なくて
何が涙を流させるのか


私には全く理解出来なかった。
だけど涙は止まってくれない。


全然止まらなかった。



私はこんな所で油を売っている場合でも
涙を流している場合でもないことは分かっている。



分かっているのにこんな顔ではお父さんにもお母さんにも会えない。




『――――馬鹿だ…』




その言葉を思い出す度、身体の芯が熱くなる。


思い出す度、涙が余計に溢れてくる。




「………もう、嫌だ…」




出てきた言葉はそんな言葉だった。