病院に行くと、お父さんが待っていた。


守の家族に一礼するとお父さんは無言のまま歩いて行ってしまう。
おぼつかない足取りで私はその後を追いかけた。




「………過労に加え、持病の腰痛と……発作が起きたらしい」




私を見ずに歩を止めることなく、お父さんは呟いた。
ピタリと足を止めたのは手術室前。




「……お母さんの、容態は?」




「どうなるか分からない、と言われた」




それって……




「お母さんは助からないってこと?」




「…その覚悟はしておけ」




…お母さんは腰痛の他にもう一つあった。
心臓が極端に弱い。
だからあまり負荷をかけてはならないんだ。


以前咳が出ていた時も苦しそうだった。本人は笑っていたけれど。


多少の咳なら大丈夫だが、あまりひどくなると負担がかかるらしい。


定期的に月に一度は検査に行くが、それ以外は私が週に一度、母の様子を伝えに病院へ足を運んでいたのだ。
笹原晶に伝えたのはほんの一部分ということになる。


しかし、私はそれを以前守に一度話したことがあった。