「…ま、ソイツもうすぐで転校するから解決はするだろうけど」




そうか…
それって良かった、だろうなのか?


何も言えない私に大樹君が続ける。




「俺…最後くらいはソイツと話して別れたいんだけどな」




そうだ。
大樹君はその人を友人だと思ってる。
あの、人と接することにまずは壁を作ってしまうような子が。




「…まぁ、大概ズレてて勘違いとか過剰表現とかいっぱいしてしまう奴だけど…なんか憎めないんだ」




そう言う大樹君の顔は今まで見た中で一番優しい顔だった。




「多分それはアイツの作る歌に俺が惚れたから―――って何か臭いな、俺…」



「そんなことないよ。
私も守もその歌に一目惚れした人ですから」




私は伝える言葉すらろくに言えない奴だけど、たまに話せる本音ぐらいは愛したいと思えたから。