「“美女と野獣”の演劇で!!「うるせー」鈴木さんと二人で主役なんだけどっ!!」




すげー
これまで笹原晶に遮られて会話を続けた奴が居ただろうか。




「……おい、今何つった?」




「……え?
だから…演劇の主役、笹原君と鈴木さんに…」




そう言うと彼は一つ溜め息を零した。
まるで悪魔が吐いた息の様に重い溜め息。




「俺は出ないから。
…鈴木とは誰か代わりの奴やってやれ」




「でも、でもさ…
皆で文化祭やった方が楽しいと思わないかい?」


「はっ…んなわけねーだろ。
寝言は寝て言え」




同じ使い方でも使う人が違えばこうも違うのか。


今の教室の空気は冷凍庫である。




「…………」




この重い空気のまま彼は教室から出て行った。




「――やっぱりアイツ、ムカつくわ」




あちゃー…
この空気はマズい。




「私、アイツ追いかけてくから。先生に早退って伝えといて!
絶対だからね!」




守も笹原晶を追いかけて教室から出て行った。


……どうなることやら。