ただ、なんとなく面白くない。


「……圭、優しいから嫌って言わないしね」

同情も含んだような言葉が何処からか飛んできた。

「圭ってばぁ…」

「………え、うん」

こっちを見ていた気がする。
本当は気のせいかも知れないけど……


「…橘君、先生が呼んでましたよ」

駆け寄って声をかけてしまった。
シャツの裾を軽く掴んで、存在感を主張してもう一度言った。

「体育の事で、呼んでましたよ」

嘘を言ってはいないが、後ろめたさにドキドキする。