「橘君か」

「え、あぁ、まぁそうだね」

杏が少し頬を染めながらあたしに相槌を返す。
この子も確か橘に憧れてたよなぁ…。


「……あたし先行くね」

これじゃいつまで経っても門の内に入れない。

「じゃあまた後でね」

「うん…」

もう杏には橘しか見えてないのか、ほぼ上の空状態の返事しか帰ってこなかった。


「………」


杏ちゃん、あんた彼氏いるでしょが