秋人はその時、走っていた。家からはもう500メートルは離れている。近くの駅前の路地裏まできていた。
「なんなんだ!?いっいきなり、かっ母さんが……殺されるし!意味が分かんない!そうだ!父さんは?会社どこだっけ?あっ携帯!やべっ!忘れた!財布もない…。どうしよう……。」
秋人はそこに座り込んで壁にもたれた。だがすぐに立ち上がり、
「あの殺し屋?がいつ来るかわからないし、とりあえず警察へ行こう。」
秋人が駅前の交番へと歩き始めた時だった。
「俺はあの交番には行かないほうがいいと思うぜ。」
秋人は驚いて後ろを見た。そこには20歳前後の青年が立っていた。
「浅羽秋人っていえば母親を銃で射殺して現在も逃亡中ってことに今なってる。まぁ死にたくないなら俺は交番には行かないなぁ。」
「あっあなたは何者?それに俺は母さんを殺してなんかない!」
秋人は半歩下がった。
「そんなに大声だしたら警察がくるぞ。それに俺はお前の敵じゃない。お前が誰も殺していないのは知っている。見てたからな。」
それを聞いて秋人はキレてその青年の近くまで近づいて言った。
「見てた!?じゃあ何で助けなかったんだよ!お前が来てたら母さんが助かったかもしれないじゃないか!!」
それを聞いて青年も口調が強くなった。
「お前を襲ってきたやつは刑事だ。お前、俺に警察相手に喧嘩仕掛けろっていうのか!?それに今俺はお前を救ってやったじゃないか!もしあのまま交番まで行ってたらお前は射殺されてたぞ!」
それを聞いて秋人は熱くなっていたのが冷めた。
「俺と母さんを襲ったのは刑事?」
「いたぞ!!」
秋人は後ろを向いた。警官が走ってきていた。
「逃げるぞっ!!」
秋人は言われるがままに青年の後についていった。