最終章 運命の相手


 一



 久しぶりに見た海は夏の海とは違い、とてもとても寂しそうに見えた。

ましてや夜だというのに星一つ見えない曇り空だ。

そんな暗い夜が余計に本田真理子の心を苦しめていた。

「あんまり気にしない方がいいわよ、ほら美月君だって信じてたんでしょ、それに一夜一緒に過ごしたんだから、もしかしたら子供デキてるかもしれないじゃない」

 真理子はやっと夏歩に美月に嘘を言ったことを告げた。それは仕事中にあった美月からの電話の内容を独りで背負う勇気がなかったからだ。