「ん〜?つまりさ…あ…!」

自分は酒の勢いで、とんでもない事を口走っていた事に気づくのに、数秒の時間を要してしまった。

あぁ〜深谷君に殺されるわ〜…

反射的に口を手で押さえ、お互い酔っているのをいい事に、話をそらすために立ち上がった。

「ごめん、トイレ!」

「あ〜はいはい」


ヤバイ、ヤバイ…

僕はトイレに行きながら、胸をなで下ろした。

…良かった…どうやら話をそらせたみたいだ…


すっかり油断してトイレから戻って来ると、ハル君は床に横になって寝ていた。

ホッとして、腰を下ろしビールの缶を手にすると、いきなりハル君がムクリと起き上がって、自分に向き直った。

しかも正座で…

「…で?さっきの続きは?」

「あ〜…」

その顔は、酔いなどとうの昔に覚めたといった感じで…

真直ぐに向けられた色素の薄い茶色の瞳に見つめられると、目をそらす事が出来なくなってしまった…

ふ・不覚…